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チェビシェフの不等式を証明 | 確率論の重要な概念を理解しよう

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tadanori

チェビシェフの不等式

チェビシェフの不等式とは、以下のような不等式になります。式では、確率変数$X$の平均値を$\mu$、標準偏差を$\sigma$、任意の定数を$k$と表しています。

$$
P\left(|X-\mu|\geq k\sigma \right) \leq \frac{1}{k^2}
$$

この不等式の重要なポイントは、確率変数がどのような分布に従っているかに関係なく、確率変数が平均から一定の距離以上離れる確率が制限されていることです。

これは実際の応用に非常に役立ちます。たとえば、統計的なデータ解析を行う際に、データの平均と標準偏差を用いて、データのばらつきや外れ値の評価を行うことができます

特に、チェビシェフの不等式は正規分布など特定の分布に依存しないため、幅広い場面で使用できます。

本ページでは、この不等式の証明を行いたいと思います。

引っ掛かったのでメモとして残しました

マルコフの不等式の証明

チェビシェフの不等式を証明するには、まず、マルコフの不等式を証明したほうが楽なので、ここではマルコフの不等式の証明→チェビシェフの不等式の証明という手順で行っていきたいと思います。

マルコフの不等式は、以下のようなものにります。なお、$X$は非負の確率変数とします。

wikiなどでは、絶対値をつけて$|X|$と書かれていますが、ここでは$X$と書きます

$$
P\left(X \geq C\right) \leq \frac{E[X]}{C}
$$

Cは任意の定数になります。確率変数Xの確率密度関数を$f(x)$とすると、期待値は以下の式で表すことができます。

$$
E[X] = \int_0^{\infty}xf(x)dx
$$

これをCで2つの区間に区切って考えると、

$$
E[X] = \int_0^Cxf(x)dx + \int_C^{\infty}xf(x)dx
$$

$\int_0^Cxf(x)dx$を消去すると上の等式は$\int_0^Cxf(x)dx$も$\int_C^{\infty}xf(x)dx$も0以上なので、以下のようになります。

$$
E[X] \geq \int_C^{\infty}xf(x)dx
$$

さらに、上式でx=Cとおくと、もともとXは$[c, \infty]$だったので、

$$
E[X] \geq \int_C^{\infty}xf(x)dx \geq C\int_C^{\infty}f(x)dx
$$

となります、ここまで来れば式を単純に変形して、

$$
P\left(X \geq C\right) = \int_C^{\infty}f(x)dx = \frac{E[X]}{C}
$$

を導くことができます。以上で、マルコフの不等式の証明は終わりです。

チェビシェフの不等式の証明

マルコフの不等式で、$X = (Y-\mu)^2$、$C = k^2 \sigma ^2$と置きます。

すると、式は、

$$
P\left((Y-\mu)^2 \geq k^2 \sigma ^2\right) \leq \frac{E[(Y-\mu)^2]}{ k^2 \sigma ^2}
$$

となります、ここで、$E[(Y-\mu)^2]=\sigma^2$なので、

$$
P\left((Y-\mu)^2 \geq k^2 \sigma ^2\right) \leq \frac{1}{k^2}
$$

2乗を絶対値に注意して展開すると、

$$
P\left(|Y-\mu| \geq k \sigma \right) \leq \frac{1}{k^2}
$$

となります。確率変数Yは任意の変数なのでXに書き換えると、

$$
P\left(|X-\mu| \geq k \sigma \right) \leq \frac{1}{k^2}
$$

となり、チェビシェフの不等式が証明できました。

他の証明方法もありますが、このやり方がが個人的には楽で好きです。

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